『訪問看護』での働き方
かなえるリハビリ訪問看護ステーション ⽟城のぞみ(看護師)
訪問看護では、時間の使い方を自分で決めるのが基本です。
記録書やスケジュールを作成する時間も自分で調整できるので、うまくタイムスケジュールを組めたときは達成感があります。
私は毎日業務時間内で仕事を終えるように自分で調整しているので、退社時間は遅くても18時半ですね。
予定が詰まっていて忙しいときに、事務仕事をきれいに終えて定時で帰ったときは自分を褒めます(笑)
タイムスケジュールの管理さえしていれば、移動手段も自分である程度選べます。
雨の日や暑い日は車移動、涼しくなったら運動不足解消も兼ねて自転車移動を増やすなど……。自分の健康管理も兼ねていたりしますね。
あと、地域の情報に詳しくなることで、ご利用者と話せる内容の幅も広がるので、地域リサーチもよくします。
美味しいお店の話は安定して盛り上がりますよ。
訪問看護師の働き方は自由度が高いからこそ、ご利用者に迷惑をかけないように管理する責任があると感じています。新しい依頼については、同じエリアを担当する看護師とスケジュールのバランスをみて調整します。
責任者を任命されてから、新規依頼の調整やスタッフが休んだ場合の調整など、調整業務が増えました。
チームワークやコミュニケーションの重要性を日々感じています。
『訪問看護師』として
私にできること
高齢者のご利用者も多いですが、最近はパーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)、脊髄小脳変性症など、難病のご利用者も増えました。
自宅にいるからこそ訪問看護師にできることもありますし、自宅だからこそご利用者・ご家族が望まれていることもあります。それらを完全に一致させることは難しいですが、すり合わせる加減は3年の経験の中で理解してきました。
はじめの頃は悩むことも多いと思いますが、経験を積み重ねることで、より良いサービスを提供することができるようになっていきます。
2019年から始まった制度として、「アセスメント訪問」があります。普段療法士だけが担当しているご利用者に、看護師が3ヶ月に1度訪問するというものです。
調整や記録に時間はとられるし、やることも多くてたいへんですが、ご利用者にとっての自分のイメージが『定期的に来る人』から『自分のことを知ってくれる人』に変わっていくのは、とても嬉しいことです。
アセスメント訪問では、看護師が来る、という意識を持ってもらうのが大切です。
病院に行くほどではないけれど、だれかに相談したい……、そんなときに、私たちの存在が生きてきます。
予防的な視点を持つこともできるし、経過をみる力が身に付くので、看護師としてのスキルアップにも繋がります。普段お会いしない方から色々な話を聞けることは、私の気分転換や楽しみにもなっています。
こんな方に、
『訪問看護師』になってほしい。
ずばり、人が好きな人!
在宅は長く関わるご利用者も多いので、人対人の関係性を築く力がいちばん大切だと思っています。
看護師としての経験で言うと、私は総合病院でも整形外科しか経験していないので、他の看護師に比べると圧倒的に足りない部分はありました。
チャレンジしたい!という一心で入社したので、最初は不安になることも多くありましたが、社内の勉強会に参加したり、先輩看護師に相談することで補ってきました。
経験不足はいくらでも解消できる環境ですし、在宅の現場はたいへんですが、それ以上にやりがいがあります。
ご利用者と長く関わる中で色々な話をきいて、向けられる「ありがとう」「おかげでこれができるようになった」などの言葉には、本当に元気をもらえます。
それが、この仕事のいちばんいいところです。
病院での看護ももちろん重要ですが、その人の生活がスタートするのは自宅に帰ってから。そこに関わることができるのは、人としても看護師としてもとても大きい経験です。
訪問看護の現場では、人として『付き合う』ことを求められます。健康に悪いことをやめないご利用者に、もどかしさを感じることもあるかもしれません。看護師として葛藤を覚えることもあると思います。
けれど、『その人らしい生活』をサポートするためには、看護師としての役割を果たしつつ、その人のやりたいことに付き合う。そんな看護師も必要なんじゃないかと思っています。
【略歴】
総合病院で3年勤務した後、保健師として1年超、市役所から委託を受けて特別養護老人ホームが併設した地域包括支援センターにて、予防看護の視点から生活指導や要支援1~2の方のケアプラン作成を担う。その後、地域で過ごす方々に直接看護を提供したいという思いから在宅看護に興味を抱き、訪問看護の領域に足を踏み入れる。